特別講座 情報通信と保健医療 講義概要
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10月10日(土)

2限(10:40〜12:10)

これからの医療・福祉のための地域支援と安全システムの構築

東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科 准教授 山下和彦

講義の様子

日本は超高齢社会に入り,医療・保健・福祉の分野で様々な問題を抱えています.これらは何か1つを改善すればよい話ではなく, 様々な角度から分析しなければよい解決方法は見出せません.その1つに現場で有用な支援技術を導入することが挙げられます. 本講義では,情報通信技術を用いた医療(手術),福祉(在宅支援),保健(健康支援)について実例を交えて紹介します. 人間がやるべきことを人間が,機械やシステムがやれることは機械やシステムが担当することで,現場の負担軽減やそれを受ける側の心理的サポートにもつながります. これらの観点からこれから求められる地域支援と安全・安心を提供できる技術についてお話いたします.


3限(13:00〜14:30)

医療情報システムを活用して地域医療連携の中核病院を目指す地方自治体立基幹病院の運営・経営について

鶴岡市立荘内病院 院長 松原 要一

講義の様子

当院は人口約16万人を医療対象とする当地区唯一の中核病院として主に急性期医療を行っています.病院の医療水準は診療能力と看護能力によりますが, それらの能力を引き出しかつ継続させること,すなわち運営・経営は事務能力が重要です.その観点から当院では診療部・看護部・事務部がそれぞれ独自性を発揮しかつ協力して, 患者さんと各部署の情報および方針を共有し,院内にあってはチーム医療を,院外にあっては地区医師会と協力し病病・病診・診診連携を進め,良好な地域完結型包括医療を目指しています.


4限(14:40〜16:10)

今まさに医療現場に必要な人材と支援技術

済生会 栗橋病院 副院長 本田宏

講義の様子

世界未曾有の超高齢化社会を目前に,日本の医療は崩壊を開始しました.その真因は1983年から続く低医療費政策と医師養成抑制による医師の絶対数不足ですが, 正しく情報が国民に伝わらないために,医療・介護・福祉予算がさらに削られる現状です.命の安全保障である医療や福祉体制整備は,日本崩壊を防ぐ最優先課題です. 正しい情報がなければ正しい判断は不可能,私たちの社会的責任は市民として立ち上がり行動を起こすことです.


10月24日(土)

2限(10:40〜12:10)

ハードとソフトを融合した超音波診断・治療システム

東京農工大学大学院 生物システム応用科学府 准教授 桝田晃司

講義の様子

超音波は生体に対する親和性が高く,画像診断のみならず治療への 応用が盛んに研究されています.本講演では,薬物を含んだマイクロカプセルによるDDS(薬物伝送システム)の実現を目指し, 超音波の音響放射力を利用した局所的濃度制御や,血管分岐部における能動的選択制御法について最新の結果を紹介します.また,講演者のこれまでに行ってきた超音波遠隔診断や, 動画像処理による心機能診断の研究内容についても解説します.


3限(13:00〜14:30)

最新情報通信技術が拓く先端医療・福祉システム

大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター 特任准教授 山田憲嗣

講義の様子

Suicaなどで使用されている電子タグや携帯電話のカメラなどで使用されているCCDなど最新の情報通信機器を利用した医療・福祉機器を最新の研究成果を交えて紹介します. 講演では,最新のデモ機を紹介する予定です.また,システム開発の裏話を通して,医療福祉機器開発の面白さを一人でも多くの方に感じてもらい, 役に立つ次世代の医療・福祉機器開発を是非一緒に開発できることを楽しみにしています.


4限(14:40〜16:10)

遠隔生体情報モニタリングを用いた医療・保健・福祉・健康分野へのアプローチ

東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科 講師 今泉一哉

10月31日(土)

2限(10:40〜12:10)

遠隔モニタリングシステムを用いた産科支援技術の開発と全国展開

香川大学 名誉教授,香川大学 瀬戸内圏研究センター 特任教授 原量宏

講義の様子

ハイリスクの妊婦管理においては胎児心拍数の連続モニタリングが最も重要です.最近の妊娠管理においては,妊娠中から分娩時にいたるまで, 胎児心拍モニタリングを行うことが非常に重要な検査法となっており,とくに妊娠高血圧症候群や切迫早産などリスクの高い妊婦に関しては,在宅からネットワークを介しての管理の需要が増加しています. 分娩監視装置の小型化とモバイル化は急速に進んでおり,妊婦自身にも非常に使いやすくなっています.モバイル化の利点は,妊婦,医療従事者双方が場所を問わずに情報を活用できる,リアルタイムに情報交換できる, 医療従事者間の相互支援ツールとして機能するなどにまとめられます.モバイルによる在宅妊婦管理システムを利用することにより,妊婦および医師側が病院,診療所以外においても,どこからでも胎児モニタリングが可能で, 携帯端末を利用することにより医師側も外出先からでも,胎児心拍数を観察することが可能です.また本システムは,経済産業省プロジェクトとして全国に展開している周産期電子カルテネットワークとも連携しており, Web版電子カルテ上で在宅の妊婦のデータ参照も可能になっています.本講演では,経済産業省により全国に展開している「周産期電子カルテネットワーク連携プロジェクト(平成18年度〜20年度)」, 特にその中でモバイルによる在宅妊婦管理システムに関して解説します.


3限(13:00〜14:30)

イギリス医療制度の歴史に学ぶ

岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 助教 入部玄太郎

講義の様子

医療の質と医療財政はある意味トレードオフの関係にありますが,高齢化などの理由で必要な医療費は年々増加し医療財政を圧迫します. よって医療政策の舵取りを誤ると医療財政はたちどころに破綻し,それはそのまま医療の質の低下へとつながります. 本講座ではイギリスの国営医療サービス制度 NHS (National Health Service) の設立から破綻,そして再建へ向けての取り組み, 現在も抱える問題点へと至る歴史を振り返ることにより,日本のこれからの医療制度がどうあるべきかを考えます.


4限(14:40〜16:10)

人間科学に基づいた福祉・医療技術とこれからの在り方

独立行政法人 産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門 主任研究員 井野秀一

講義の様子

この講義では,病気やケガあるいは加齢などによって,見る・聞く・話す・動くなどの日常生活に大切な機能が弱まった人たちを支援する科学技術の基礎について学びます.この人間支援の技術は,QOLテクノロジーとも呼ばれており, エンジニアリングのみならず生理学や心理学などの人間と関わる諸科学との連携も重要になります.ここでは,感覚代行システム・介護機器・バーチャルリアリティなどに関する研究開発の実例を挙げながら, 人間科学に基づいた福祉・医療技術とこれからの在り方についてみなさんと一緒に考えていきたいと思います.


11月21日(土)

2限(10:40〜12:10)

健康・福祉・医療の情報流通基盤

NTTアイティ株式会社 ヘルスケア事業部 介護予防システムプロジェクトリーダー 坪井俊明

講義の様子

健康・福祉・医療の情報が電子的に蓄積されるようになってきたため,その情報を流通させて活用され始めています.しかし,これらの情報は最も守られるべき個人情報であるため,情報流通させるにはセキュリティなどが重要です. 最近,日本版EHRなどの試みが行なわれており,その目的や利用されている技術などについて,紹介します.また,健康・福祉・医療において,どのような情報流通が行なわれているかいくつか実例を紹介します.


3限(13:00〜14:30)

「ワンコイン健診」の革命/医療系ソーシャルベンチャーの挑戦

ケアプロ株式会社 代表取締役 川添高志

講義の様子

生活習慣病が医療費の3割,死因の7割を占める一方で予防に重要な健診受診率は6割と低く,健診を受けない理由に「面倒」「費用がかかる」などの問題があります.この社会問題に対し,保険証無しで500円から受けられる「ワンコイン健診」を立ち上げたケアプロ. 利用者は4,000名を超え,フリーターのセーフティーネットにもなっています.ケアプロの立ち上げ経緯とそこから見えてき今後の医療界に求められる人材像について講義を行います.


4限(14:40〜16:10)

安心して妊娠・出産のできる医療機関になるために

神奈川県立こども医療センター 周産期医療部 新生児科医長 豊島勝昭

NICUで入院加療を要する新生児として,@早産児(低出生体重児)A先天的なご病気の児B異常分娩経過に伴う状態悪化児(胎児・新生児仮死児)に大別されます. 新生児集中治療室(NICU)の入院児は全国的に年々増加しています.出産数は減少傾向にありますが,若年妊娠・生殖医療・高齢出産の増加などに伴う早産児や病的新生児の増加, 胎児診断の普及で以前は専門施設に入院する前に亡くなっていた最重症児が治療可能施設で出生するようになったこと,妊婦健診の未受診の飛び込み受診の増加, など様々な要因が複雑に関与しています.15年前と比較すると,出生体重1kg未満の超低出生体重児は1.46倍,500g未満は1.67倍に増えており,NICUで高度先進医療を受けている早産児は年々増加傾向にあります. 出生33名に1名はNICUに入院する現状であり,NICUは特別な児やご家族のための場所ではなくなりつつあります.

早産児や胎児新生児仮死児は永続的な病気ではなく,一時的な状態の悪化です.適切な医療を受けることにより,多くの場合,後遺症のない状態での救命が可能です.反面,治療を施行出来る施設・医療者は限られており, 適切な医療が受けられない場合には死亡や後遺症を有した状態での生存となる可能性があります.緊急時に適切な医療を受けられる機会を得るかどうかが早産児や胎児新生児,仮死児のその後の人生を大きく左右します. NICU医療の整備は子供達の未来を守るために急務です.

新生児の誕生には休日も夜間ありません.NICUでは昼夜を問わない24時間態勢のチーム医療が展開されています.重労働の職場ではありますが,それでも医療スタッフは希望と誇りをもって職務を全うしています.誕生と死亡が紙一重であり,喜怒哀楽が混在する医療現場で, 児とご家族によりそうように医療を展開したいと考えています.本講座ではNICU医療の実際をお話しし,皆様と子供達の未来を一緒に考えたいと思います.

12月5日(土)

2限(10:40〜12:10)

遠隔医療を視野に入れた栄養・健康指導と具体的支援方法

東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科 教授 下田妙子

講義の様子

情報通信技術(IT)やマルチメディア技術は日進月歩の発展を遂げています.遠隔医療や遠隔画像診断,遠隔健康指導など,高齢社会でのマルチメディアネットワークを利用した双方向情報コミュニケーションは益々その需要が高まっているといえます. 栄養指導や健康指導においても,病院で働く管理栄養士の数は少なく院内の患者も網羅できない現状にあって退院後の在宅支援は不可能に近い状況です.また,特定健診・特定保健指導が始まりITを活用した支援の有効性や信頼性が報告されるようになりました.こういう現状から, 遠隔医療の中に管理栄養士も参画して,管理栄養士と他の医療従事者間で患者や住民の情報を共有し,ネットワークでつなぐことによっていち早く双方向のチーム医療,チーム栄養サポートが可能となります.このような事例を紹介しながら,今後の課題について議論していきたいと思います.


3限(13:00〜14:30)

医療知財と医療技術・在宅支援のこれから

テルモ株式会社 主任部員 澤井健二

戦後医療の中心であった外来,入院医療に加え,昨今では,在宅医療という形態が増えてまいりました.医療従事者の医療技術を支える様々な技術の進歩によって,自宅でも病院同等の医療供給体制が整ってまいりました.特に,昨今のIT技術の進歩には目を見張るものがあり, その恩恵にあずかるようになってまいりました.発明は特許権として保護されます.成長分野といわれる医療業界でも,様々な動きが活発になってきております.こういった事例や経験から,これからこの業界で活躍される可能性のあるみなさんへ話題提供をできれば幸いです.

4限(13:00〜14:30)

安全と信頼は正直文化と患者とのパートナーシップから生まれる:アメリカの先進的取り組みから

医療ジャーナリスト,東京医療保健大学 国際交流アドバイザ  早野真佐子

講義の様子

米国医学研究所による1999年報告書「人は誰でも間違える」が発表されて以来,米国内および世界中で医療事故への関心が急速に高まりました.日本でも,1999年の都立広尾病院事件を機に,医療事故が広くメディアで報道されるようになり,医療事故への関心が高まっていますが, それは同時に,医療者と患者の対立の構図も生み出しています.どこでも起こり得る医療事故の防止のために何が必要なのか,事故が起こったとき,どのような対応が必要なのか,医療者と患者や家族が対立しないようにするために何が必要なのか,国内外の事例を挙げながら考えます.


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