2010年度卒業研究論文に思う
2011年3月1日
医療情報学科
教授 津村 宏
  本論文は、平成22年度東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科医療情報学研究室(津村ゼミナール)の卒業研究論文である。卒業研究は、一昨年、米国で発生したサブプライム問題の影響で世界経済の先行きが不透明、世界経済は低迷し、就職戦線が非常に厳しい時期と重なった。卒業研究開始当初から、学生諸君は就職活動に時間を取られる日々であり、本格的に卒業研究が開始できたのは、晩秋となった。そのため卒業研究発表会の開催も平成23年2月1日と遅くなり、学生は卒業研究の実施、論文の執筆、教員はその指導に十分な時間をかける事ができなかった。そのような中、卒業研究発表会では、研究内容が的確にまとめられ、早口にもならず聴き取りやすい口調で発表が行われた。質疑でも的確な回答が出来ていた。発表時間も制限時間にきちんと終了していた。医療保健学部の特徴である4年次の3学科合同科目の協働実践演習の発表会では「医療情報学科の学生は、発表を簡潔にまとめ、時間内に出来ている。パワーポイントの使い方も良い。」と他学科の先生方によく言われている。その通りである。就職先でもこれから良いプレゼンテーションの能力を発揮してもらいたい。  今回の卒業研究では、小野さん、根岸さんは、診療報酬請求事務に関する教材を開発し、その評価を行った。教材は、診療報酬請求事務に必要な知識を網羅しており、今後発展させていく基礎が出来たと思う。  柏木くん、濱くんは、地域連携クリティカルパスソフトを研究対象にし、世の中の現状は4疾患5事業に係わる連携クリティカルパスしか存在していないので、汎用に使える地域連携クリティカルパスソフトの作成を行った。  小泉さんは、実際の病院で退院サマリー作成率の調査と、医師へのアンケート調査による作成率向上の対策についてまとめた。退院サマリー作成率の向上は医療機関にとって大きな課題であり、病院で研究成果が生かされることを望みたい。  斉藤さんは、医療情報学科設立の目標である医療情報コミュニケーター育成のために、現状のカリキュラム編成が有意義であるのかどうかを、第一期卒業生へアンケート調査することで明らかにした。  早崎さんは、医師の過重労働対策として打ち出された医師事務作業補助者に関して、その育成の現状を先進的な医療機関を訪問調査し分析した。 各卒業研究は、現代の医療にとって重要な課題である。卒業してからも、このような課題に取り組み、新たな視点で医療界の発展に貢献されることを期待する。

卒業研究題名
学生氏名
診療報酬請求事務能力認定試験対策Web教材の開発と評価
小野 江利子
根岸 香織
地域連携クリティカルパスソフトの提案
柏木 雄介
濱 恭史
退院時サマリーの完成度向上についての研究
小泉 沙織
医療情報コミュニケーターとしての必要な知識に関する研究
斉藤 千穂
インターネットにおける医療相談内容の特定解析
野原 由夏
医師事務作業補助者の現状
早崎 文野
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