バリアフリーシステム開発財団奨励賞

楠田佳緒さんが第26回ライフサポート学会大会(WWLS2010)において バリアフリーシステム開発財団奨励賞を受賞しました.

「RFIDによる手術器械の個体管理システムの開発」
病院などの医療機関では,手術器械(メスや鉗子など)を数万本から十数万本を保有しています.
これらすべてを医療従事者が手作業で管理し,手術器械のカウントや故障の確認を行っています.
医療従事者の負担を軽減するためには,何らかの支援が必要です.
そこで,RFIDタグを手術器械に取り付けることで,手術器械の個体管理を行うシステムを開発しました.
RFIDとはRadio Frequency Identificationを略したもので,SuicaやPASMOなどに組み込まれているようなICタグのことです.
無線通信技術を用いて,手術器械に取り付けたRFIDタグをリーダ(改札機のタッチする部分)にかざすことで,タグの情報を非接触で取得できます.
個体管理を行うためのアプリケーションを作成し,開発したシステムが医療現場で使用可能かを確認するために,臨床評価試験を行いました.

受賞したときの気持ちを教えて下さい.

ファイナリストに残ったこともとても嬉しかったですが,さらに賞を頂けたというのはとても光栄なことだと思います.
私にとってとても良い機会になりましたし,自信にもつながりました.
山下先生をはじめ,研究室のみなさんに発表準備や練習にお付き合い頂いたおかげだと思っています.
ありがとうございました.

大変だったことは何ですか.

・「人に伝える」ということ.
"聴き手のことを考えて "(聴き手の研究分野や学会について等),資料や発表方法を丁寧に構築していくことが必要だと学びました.
研究室で毎月行う研究発表でも,資料や発表方法については考えながら発表していたので,問題はないと思っていました.
しかし"考えているつもり"でしかなく,聴き手にまでは配慮できていないことを実感しました.
初めての経験だったので,準備や練習にとても時間がかかりました.
・会場にマイクがなかったこと.
声が小さいと,聴き手に緊張していることが伝わってしまうので,できるだけ大きな声で発表しました.
学会によって会場も様々なので,良い経験になりました.
また,どんな状況であってもその場に応じて対応できるように,練習や準備をすることが必要だと思いました.

応募したきっかけは何ですか.

私が受賞する前年には,山下ゼミOGの中嶋香奈子さんがバリアフリーシステム開発財団奨励賞を受賞していました.
これまでの学生生活でプレゼンテーションやスピーチといった発表形式の賞へ挑戦したことはなく,
山下先生から学会発表について紹介して頂いたときは,賞をとれる自信もありませんでした.
しかし,発表までの準備の過程や研究のまとめ方を学ぶ"チャンス"になると思い,挑戦することにしました.

論文を書いて良かったと思う事は何ですか.

発表をする前に,予稿論文として研究内容を数ページにまとめました. 自分が取り組んでいる研究内容を文章で表現する必要がありましたが,それ以前に予稿論文の書き方が分かりませんでした.
研究の背景,目的,実験方法,結果,考察など,決められた書き方や文章の表現の方法など,先生にご指導いただきとても学ぶことが多かったです.
また,自分が研究している内容を整理してまとめることで,自分が今どの立ち位置にいてどの部分を進めているのかを理解する機会となりました.
この工程は,研究を進める時だけでなく,就職をする場合でも求められることだと感じました.



(編集:宮内 珠帆)