東京医療保健大学 海外研修レポート

タコマコミュニティカレッジ

和田祥平

私は、シアトル研修の中でも最初に訪ねたタコマコミュニティーカレッジで学んだ中で、 面白いなと思ったアメリカのインターネットを介した患者への診療情報の提供サービスについて紹介したいと思います。

  アメリカには、日本の医療制度と異なり国民皆保険がないです。そのため、多くの保険会社・組合が存在し、 それぞれ独自のサービス展開を行っていて、国民はその中から好きな保険を選択するという形となっています。 その保険組合の中の一つであるグループヘルスというワシントン州では一番先の医療サービスを行っている組織が提供するサービスの中に インターネットを介した患者への情報提供があります。   このサービスは、グループヘルスのメンバーになれば誰でも利用でき、診察や健康診断、治療や健康に対する悩み相談などの予約から、 今までに診察を受けたことのある医師や看護師の情報、診断・治療方針・薬の処方・健康増進のためのアドバイスなど診療情報の閲覧、 自分の子供の情報の閲覧、薬の処方、医師との Eメールによるコミュニケーション、支払情報の閲覧など様々な情報の閲覧ができます。 自分や家族の診療情報を自宅でいつでも閲覧できるということもすごいなと思ったのですが、私がこの中で特に気になったのは、 薬の処方がインターネット上でできるということです。しかし、全ての薬ができるというわけではなく、 薬によって何回までオンラインで注文できるか回数を決めるなど、ちゃんと制限はあります。 けれども、このサービスによって病院に頻繁に通うことが難しい方にとっては、病院に通う回数が減って、患者QOL(生活の質)の向上へ大きな貢献をすると感じました。

日本では、このようなインターネットを利用した情報共有は、セキュリティなどの問題から制限が引かれてなかなか進んでいないのが現状です。 しかし、今後このようなインターネットを利用したシステムを利用することによって血圧や血糖値などのバイタルサインを自宅で入力するだけで簡単な診察をしてもらうことができる、 患者を他院へ紹介するときの情報共有できるなどの地域医療連携を確立していくのではないかと感じました。


タコマコミュニティーカレッジでの研修風景


今回の研修を通して強く感じたことは、日本と比べると悪い情報を公開することによって問題の解決を図ろうとするなど非常にオープンであり、前向きな姿勢が感じられたことでした。 日本の医療について詳しく知っているわけではないけれど、アメリカと比べると、日本は病院に限らず企業でも悪いところは隠してやり過ごしてしまうような社会性であると感じました。 こういったアメリカのオープンな姿勢と先生方の尽力のおかげで、本で見たり、聞いたりするのとは違い、実際の現場を見て学び、また患者さんのお話を伺う機会もいただいたりと充実した研修を送れたと感じました。 私が医療システム開発の仕事につきたいと考えていることもあって、今回の研修で様々なシステムについても学べたことは、これからの就職に対する考えにたいしても、とても大きなプラスとなりました。 そして、医療情報というのは医療のあらゆる場面で必要とされ、医療を改善していく大きな力・武器となるのだということを改めて認識させられた研修でした。 また、勉強以外でも、空き時間にはシアトルの街を回る、みんなでおいしいご飯を食べに行くなど充実した研修でした。シアトルの街の中には、トロールや金の豚、 バスを待つ人といった変わった像や建築物が多くあり、それらを見て回るのも面白かったです。こうした異なる文化に触れるのもとてもいい経験になりました。


トロール像

カニを食べに行きました

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