東京医療保健大学 海外研修レポート

Veterans Affairs Hospital (VA)
—VA施設内のシステムについて—

小林 真美

薬剤部

  1. CPRSでオーダーしロボットが準備
    • 1日5000ほどの薬を準備(4つの病院に対して処方箋を準備している)
    • 4日分の薬をストックすることが出来る(バックヤードに3日分)
    • 1つの袋に薬が入るようになっており(スイスロジック)薬が途中で変わったときにも対応できる
  2. エラーは1%
    • ロボットは非常に正確で問題はないが人のミスが1%になってしまう
    • 頻繁に使われない薬は常時ストックされないので人が行い、パッケージも人が行う
    • 今後機械化予定になっている
  3. 必要持薬は病棟に

    薬はすべて薬剤部から病棟に送られ、ナースが確認する。必要持薬が使われなかった場合は薬剤部に返されるようになっていた。しかしこの流れは非効率的であり、 またナースの負担も大きい。

    • 薬の更新は必要なため、必要持薬のみ病棟にストックしておき、取り出した時に記録する。
    • 液体は滅菌しながら調合している。(陽圧、防御服)
    • 粉薬はほとんどなく、日本のように粉を調合することはないが皮膚に塗布する薬に時々入れるのみである。
    • 外来の薬は外来専用の薬剤部でボトルに必要数用意される→夜は外来も入院も同じ薬剤部で行われる。
    • ほとんど薬の取り出しや調合は機械化されているが来年には完全自動化する予定。

感想

日本は処方箋をもとに、棚に入った薬を選択し、また粉を調合するようになっている。機械化もされているが薬の回転が早いものだけとなっているため人が関わるところが多いと感じた。

アメリカではオーダーされてからロボットに準備命令が届き、ほとんどを機械が揃えるようになっている。そして機械のエラーはない。

日本はコストや粉薬もある関係からすべてを機械化するのは難しいが、エラーを減らすという観点から見ると機械化することは有効なのではないかと考えられる。

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心臓部

  1. エコー心電図(心筋、弁が正常に動いているか見る)
    • 検査は技師が行い、またEcho Reading Roomで医師が解釈
      ↓ まだデジタル化されていない
    • デジタル化されるとPCで見られるがモーションで見ることが出来ず静止画になる
    • ホルター心電図、ETT(トレッドミルテスト)、EKG(心電図)、心臓負荷テスト
    • EKGの結果で心臓カテーテルの手術が決まる
  2. 心臓カテーテルラボ
    • 心臓の弁の異常を見つけたら人工弁、自己弁の修正
    • 心臓の手術が必要な人は必ず心臓カテーテルを行う(塞栓されている血管などを1回の開胸で手術)
    • 術中レントゲン装置があり撮られたものはPCで見ることができる

感想

エコーの結果をPCで解釈出来るようになれば、診断の迅速化・効率化が出来ると思う。

電子化すると静止画で見られるようになるということだが、モーションと静止画で得られる情報には差が出ないのだろうか。

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検査部

  1. 放射線(Radiology)
    • 記録がCPRSに送られる
    • 技師が撮影したものを医師が所見をディクテーションし、あわせてCPRSへ記録される
    • バリウム検査:色を対比させ見やすくし、嚥下障害も診断できる
    • 検査室にはモニタがありリアルタイムで見ることが出来る
    • 放射線技師は毎日検査台の横にいるので防護服を着用し、その上に滅菌された上衣を着る
    • 診断的:1週間 25人
        介入的:1週間10人〜20人
  2. CTスキャン
    • 撮影したものはPCで構築されすぐ見ることが出来る
    • 全体または各部位を詳しく見ることができ、造影剤の点滴はボタンで自動的に行われる
  3. 核医学(Nuclear Medicine)
    • 臓器の血流の状態を見る
    • 血管によって造影剤が決まっており、アイソトープの種類も臓器ごと決まっている
    • 90°の板によって撮影され回転することにより180°撮影できる
    核医学の機器
    ??
    核医学の機器
    ??

  4. MRI
    • シークエンスで撮る
    • 心臓から足の先までの血流の流れ
    • 臓器を限定して撮影することや、具体的に臓器に腫瘍があるかなども調べる
    • ランオフ(Run-off):血管に血栓があるかバイパスに使う足の血管に問題ないかなどを調べる
    • 磁界強度は1.5テスラと3.0テスラがあり3.0テスラのほうが画像はいいが1.5テスラでも十分対応できる
    • Open MRI:閉所恐怖症患者の時に使用。特徴は横が開いている。
    • 撮影は技師が行う
  5. 99%電子化されている
    • フィルムは現在使用されていないが、電子化前のフィルムが残っているためこれらを電子化する必要がある
    • 他の所から送られてきたフィルムもある
    • 医師になるには5〜7年かかり神経系になると7〜8年かかるほど専門性が高くなり、CT・核医学・MRIでそれぞれ専門の医師が必要

感想

検査はすべて技師が行い解釈は医師が行う。そのなかでPCからすぐ検査結果を見ることが出来るのはとても重要だと思う。

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ラボ

  1. 経頭蓋磁気刺激
    • 脳の領域をマッピングして部位との関連した場所に刺激を与える
    • 大きさ(ボルテージ)によって頭→首→背中→腰の伝達の欠損を見つける
    • 脳の中心部の疲労度はボルテージが減るのにどのくらい時間がかかるのかで判断し、薬の効果はボルテージが戻る時間で判断する
    • 筋肉と比例しているので計算で表面のボルテージを調べる
    • MBIで撮った脳で立体的な画像を作りスポットに印を付け、1000ボルトの磁気フィールドを作り、脳のスポットに直接電流を流し刺激を与え、 特定の部位を反応させる
    経頭蓋時期刺激の体験
    経頭蓋時期刺激の体験
    経頭蓋時期刺激の電極
    経頭蓋時期刺激の電極
    経頭蓋時期刺激の結果画面
    経頭蓋時期刺激の結果画面
  2. ストロークラボ
    • ロボットで上肢などの運動を支援する
    • 強化したい筋肉だけ動かし他の筋肉を動かさないように固定
    • 320回を3回繰り返す(30分から60分)
    • 軌跡が残りグラフ化
    • 拘縮が見られる人は強制的に動かすことはしない
    • 筋肉を痛みなく鍛え動かす訓練
      上肢のリハビリ体験
      上肢のリハビリ機器の体験の様子
      上肢のリハビリ体験
      上肢のリハビリ機器の体験??

    • 1対1だと対応する人数が限られてしまうのでロボットを使うことによって多くの患者に対応できる

    セラピストが毎回つききりだと大変である。そのため、実用化が決まれば1人で数台を見られるようになれば負担も減り、効率よくなると予想される

感想

初めて見た方法だったのでとても興味深かった。人員不足がどこの職種でも言われているので、機械で対応できるとことは機械が行いそれを人がフォローする体制がきちんとできるようになれば より高い技術や医療を患者に提供できるのではないだろうか。

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カルテ管理

  1. 紙のスキャン
    • CPRSになって紙を使うことがほとんどなくなった
    • 歯科記録(過去と比べるため)腫瘍放射線療法がまだ電子化されていない
    • 入院患者パケット
    • 署名が必要な書類、ベッドサイドのフローシート(点滴の時間等)
    • 古いものをスキャンして電子上で見られるようにしている
    • スキャンされたものはCPRSに保存されスキャンされたものがリストアップされる
    • コーディングは外来、入院←アウトソーシングコーディングする会社
    • テープ起こしもアウトソーシング
    • 大部分は外部で行われるが組織内にも人材はいる
    • コーダー:6人〜8人(フルタイム5人)
    • テープ:8人〜9人(全米のコーダーは1500人いるが全然足りない)
  2. 情報開示
    • 誰からの請求かを明確にする(VAからの請求か、請求理由、情報開示許可か、どこに持っていくのか)
    • 必要といわれた情報はタイピングし請求のあった日付を記録する
    • プログレスノート、退院記録、ラボ、放射線、手術記録など
    • すべて手続きが済んだら印刷し手紙、FAXまたはCD-Rで送る
    • ペーパーのもので請求があった場合はコピー
    • 全米No.1のHIM(診療情報管理士)の部署

感想

きちんとしたHIMの部署がありきちんとトレーニングも行われ技術を身につけていくことができる環境がいいと思う。1500人いても足りないということなのでHIM(診療情報管理士)の面から見ると 日本は非常に遅れているのではないかと感じた。

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