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——最後に各学科に期待することをお願いします.

坂本

私はNTT東日本関東病院の看護部長をずっとしていたのですが,この大学を創るときに私自身参画して,今の3学科に意見を述べてきました. そして3学科の協働に医療者として夢を持っています.

まず看護学科ですが,看護学校の教育というのは,職業学校みたいなプロになるための教育.でも,プロになるための教育のベースには教養というものが必要になる. プロとして,看護という分野じゃないところ,つまり教養の様々な知識を結集して問題解決していきます.これは学士教育という大学教育の中の原点です. 看護の教育にもこれを入れなければいけないと思います.あまりにも人というものは深いものです.患者さんと関わって自分がやってきたものだけの中で患者さんのことを解決するのではなく, 看護というものを学ぶことは人間としてどのように問題解決していくかがベースになると思っています.それには総合的に考え,実行していく力が必要です.そのための訓練は欠かせません. 看護の教育にどう取り入れるかを検討していかなくてはと思っています.

つぎに医療栄養学科ですが,病院の治療の中で患者さんが食べる行為はすごく大きいです.人間のニーズとして重要な部分を占めます.これからもより良く生きていこうとする人間の原動力に栄養学は関わります. そういう意味では栄養学を学ぶみなさんは,誇りを持って患者さんの食生活というものに対しては学んで,社会に貢献してほしいと思います.

最後に医療情報学科に期待することは,医療に関して,例えば疾患の症状がある傾向のときはこうなるというエビデンス(科学的根拠)をみつけたりしながら,医療の成果を上げるという方向性を見続けていきながら, 患者さんや医療スタッフが分かり,活用できるように見えるようにしていくことが大事だと思います.情報をどう探し,作り,使い,評価していくか観点をもって,医療に関わる情報の専門家になってほしいと思います. 全体的なアウトプットだけを評価する手法では医療は改善しない.現在は,各部門でやっているけど,そうじゃなくて病院全体の患者さんがどういう状況にあるかという手法は医療情報学科が考え,提言していってほしい. 情報学科に医療とつけたのは,患者さん1人ひとりにどのようなプロセスで医療が行われるかが重要で,医療と情報の両方をやるのが医療情報学科という新しい試みだからです.それから例えば診療録. これは医療者が行った結果として記録したものです.書いた物をきちんと品質良くしないといけない.形にならない物はわからないから,皆が「良い看護だ,良い看護だ」と口で言ったとしても,残された物で見るわけだから. 残されている物を医療情報学科で学んだ学生は卒業してプロになり,医療の質を向上させるように使用して欲しい.

さらに,病院だけではなく,学んできたことを道具に,卒業後は企業など世の中に散らばっていろいろな角度から皆さんの目で医療を見て欲しいと思う.病気になっても不安にならず,安心して亡くなる最期まで安全で希望を持って生きるというのが医療関係で働く私たちの使命だと思います.

この3学科で学ぶ学生には,多くに人に希望を持たせる職種として活躍することを期待したい.

目の前にあることで皆さんは精一杯だと思いますが,大きな鳥の目で見てほしい.3学科の役割というのはそういうことです.そしてみなさんに期待することは世界に羽ばたいて欲しいということです.グッドラック.

坂本教授 坂本教授とインタビュアーのみなさん
坂本教授とインタビュアーの学生
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