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医療情報の今後—現場に基づいた医療情報

——今後,医療情報学科がどうなるべきか,また医療情報学科の学生がどうあるべきか教えてください.

山下

こういう話は,現場で議論してかないと全然意味がないと思います.だから,いかに現場とつながって,現場で医療情報の本当に有効な使い方を身に付けてほしいです. 医療情報を適切に使うためには,インフラがとても大事です.それからデータの質が重要で,データの質を保証するためには,データの標準化, つまりみんな同じことに基づいて記入してもらえることがとても大事です.それは現場の理解も必要だけど,誘導するような仕組みも必要なのです. ただやってと言っても現場は大変だし,患者に対することがまず最優先なので見向いてもくれません.だから医療情報の側から、うまく設計して, インフラを整備しないといけない.それが患者の安全性を高めて,医療現場の効率性を高めて,本当にやるべきことに時間が使えるようになって, 自分のやっていることの位置づけが明らかになれば多くの人が興味を持ってくれるし協力してくれます.それは,狭いレベルの病院内だったり, 地域連携だったり,行政みたいな大きいレベルで,データを集めて解析したり,それぞれで立場が全然違うから, 1箇所でなく全体をみてその中でうまく機能できるように設計して議論をする必要があります.

——次はこれをやりたいという研究の目標を教えてください.

山下

ひとつひとつ実現させる必要があるから,まずは手術器械をオペ室で使えて,「医療安全性が向上した」という証明をするのがひとつ.それから,高齢者の転倒予防活動をずっとやってきて, もうそろそろ自分が足りないことをまとめて,これを使えるようにするのが直近の課題です.また,子どもの支援をちゃんとできるようにしなければならないと思っています. これをやらないと,高齢者問題は解決しなくて,年を取ってから対策を考える前に,予防する支援をしなければならないですね. だから,ひとつひとつ順番にものにしていくことが大事だと思います.研究の目標は,僕はニーズオリエンテッドなのでこんな問題点があって, こんなことをやっているので,高齢者の転倒予防で言うと,ちゃんと評価できてない問題から評価するシステムをつくっているのです. それがうまくいけば,評価ができて,今ある事業がうまく回る.そうすると,現場はきっと楽になりますよね.対象者自身も自分の状態が分かって気を付けるようになれば, 転倒リスクが減ってくる.そうすると,転んで大腿骨頸部骨折というのも減ってきて,寝たきりになる前に予防できるのです.それって,すごい意義のあることなので, そんなふうになれば研究として意義があるのではないかなと思います.

——最終的に,みんながちゃんと自分の体を自分で管理する,かつデータが全国的に標準化するということが最終形態に近いですか?

山下

そうですね.個人も使えるし,行政も使えるデータが必要です.そのデータを見て,国の予算をなんとかしないといけないから,こういう人が多いから,こういうところを重点的にやろうとかに使えます. そうするとその部分の予算や人材は他に回るようになるし,対象者自身も自分たちの状態がわかるから,そんな風にできるといいと思います.

——では最後に研究室に入る学生に求めるものを教えてください.

山下

1番大事なのは,やる気ですね.これがかなりの割合を占めていて,あとは細かいことで,時間を守るとか,そんなのは常識の範疇ですね. もう能力なんて誤差範囲です.研究でもなんでもうまくいかなくって,壁にぶつかって,だめになっちゃうっていうのは,要するにやる気や忍耐力がないんだね. 壁にぶつかってそれを解決できるってのは研究の醍醐味でそこから大きなものを得ることができます.そもそも解決できる手段を探すのが研究であって, そんなのすぐに見つかったらみんなやっています.だから,そういう面白さを探すのが大切.だからやる気だね.やる気とモチベーション.この2つだと思います. 多少は無茶してほしいし,何にでもチャレンジしてほしいし,僕の研究活動に参加してほしい.諦めずに続けるやる気が大事です.

インタビューの様子 医療情報学科海外研修の様子
インタビューの様子(左)・医療情報学科海外研修のにて(右)
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