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100%無毒の自信と、その証明がなければフグ肝を提供することはできない

野口

フグの無毒化の実験をスタートさせました。「フグは毒のある餌を食べなければ、毒化しない」という仮説を立て、 モデル実験では、養殖フグが毒の原因になるフグ毒をもつ生物を食べないようにしなければならないと考えました。 当時、山口県では仙崎湾で、石を積んで囲い、そこで、トラフグを飼い、餌を与えて養殖していました。 フグは海の底にいるフグ毒をもつ生物を食べることができ、養殖フグではありますが当然毒化しました。

私の説が正しければ、「フグ毒を持つ生物を遮断して人工的な無毒の餌で養殖したら、毒化しないのではないだろうか」と実験では、 山口県湾を仕切ったフグ養殖とは異なって、海底から10m以上離した囲い網の中でフグを養殖している7つの県の養殖場から1〜3年魚を採取して、 長年にわたって毒性試験を行いました。7つの県の養殖場から採取した約4000個体から、1個体も毒は検出されませんでした。 しかし、海のど真ん中で囲いをしたところで、台風や嵐などで海底のフグ毒をもつ餌が網の中に入り、フグに捕食されれば有毒化してしまいます。 この海面養殖ではフグ毒保有生物の侵入を完全に阻止する管理は不十分だと考え新たな実験をスタートさせました。

2001年から海水をくみ上げる方法:陸上養殖を始めるに至った

大貫

2001年〜2008年までに、陸上養殖したフグ3600個体からの肝がすべて無毒でした。 野口先生の立てたフグの毒化は食物連鎖によるという仮説が立証できたと言えます。

野口

有毒フグの消化管の中にフグ毒を持つ生物がいたことから、フグ毒をもつ生物を排除して養殖してみようとした。 つまり、フグの毒化を食物連鎖で説明するにあたって、陸上養殖で育てたフグを無毒の餌で養殖しているので無毒フグになります。 また反対に、この無毒フグにフグ毒を入れた餌で養殖すると、毒化しました。逆も真で、無毒フグの養殖が立証されました。

——他の魚も有毒な餌を食して、毒化するのではないですか?

野口

当然他の魚も毒化してもいいんじゃないかって思うでしょ?これは(フグ毒の問題とは)別ですが、 毒化しません。何故他の魚は毒化しないのか・・・。そこで、一般の魚がフグ毒を持てるかどうかの実験をしましたが、 持てませんでした。それでは、何故フグだけがフグ毒を保有できるのかというと、普通の魚に比べでフグ毒に対して300〜700倍抵抗力があるからです。 普通の魚は抵抗力がないから、フグ毒を持ち得ないという結論になりました。

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