——いくら伝統食であっても、厚生労働省から肝を食用として使用してはいけないとされているため 復活にはさまざまな困難が待ち受けているようですが・・・。
無毒フグができたので、伝統食品であったフグの肝を復活させようとしました。安心・安全というお墨付きをもらって、 (一般の方にも)食べていただこうと努力しています。しかし、無毒フグだけでは物足りないので・・・。 つまり安心安全でおいしくにさらにプラス機能性を持たせようと思ったわけです。これまでに、天然フグの肝で多数の人が中毒していますので、 厚生労働省や食品安全委員会は、私たちの無毒のデータだけでは、規制を解除しようとしません。
——機能性とはフグ肝が美味しいだけでなく、何か素敵な成分でも入っているのですか・・・?
フグ肝にはIPA(EPA)、DHA(2種とも必須脂肪酸の一種)が沢山含まれています。先ほどからの話からわかるように毒は食べ物から来るということで、 餌のほうの毒および栄養について分析をしたところ、毒はなく、脂質中にIPAやDHAが多く含まれていました。この餌を食べて育ったフグの肝は、 勿論この栄養素が沢山入っていました。研究上は、餌の配合割合を変えて、機能性、つまりIPAやDHAを多く含ませることもできるわけです。 そういえば皆さんは、他の珍味の肝であるフォアグラや、アンコウの肝を食べたことってありますか?
——ないです・・・。
フグ肝はアンコウの肝(アン肝)やフォアグラに食感が似ています。ただ、フォアグラはIPA、DHAは全く持たないし、 アン肝に比べてフグ肝は栄養価が非常に優れています。
数枚のフグ肝料理の写真を見せてもらう・・・。 中でも驚いたのは刺身でした。味噌汁や西京漬けもあり、中でもでは西京漬けは人気との事。
フグ肝は7割程度が脂質で、この油には人の必須脂肪酸であるIPA、DHAが含まれているため、口当たりも良く、 食べて太る心配はないのです。食べ過ぎなければ非常に体にいいです!
機能性に富ませることとは、要するに美味しさだけではないということ!DHAで頭もよくし、IPA(血流が良くなり)で心筋梗塞や脳梗塞を予防することになります。 フグ肝にはDHA、IPAなどの機能性のある脂肪酸が沢山含まれていますが、フグ自体はそれらの成分を作れないので、 餌にこれらの栄養素を多く含むようにいろいろ工夫して配合することが大貫先生のアイディアです。
餌の主な原材料のカタクチイワシやサバにたくさんのIPAやDHAが含まれているから、それをフグの飼料にして作ります。 ここで専門的に言うならば、餌で伝統食品を安心安全、美味しさに加えて、機能性を持たせる一工夫をし、生産したい。 安心安全なフグ肝作りで何十年かけているから、それだけでは研究的には物足りない。何か付加価値をつけて一般の人々に提供したいです。 でも、フグ肝ファンからすると、こわごわ食べないと美味しくないと言っています。スリルを味わいながら食べるから美味しいといわれています。 昔からフグは毒があるものとされていたのだし、こわごわと食べたら話しの種にもなります。今は時代が違うし、安心安全が第一で、 それに機能性を持たせようと考えています。
お話を聞き、何十年もの研究の成果により、着々と食用にされる日は目の前に近づいていると思いました。美味しく、健康に良いことで、さらに人気の食材となりそうだと感じました。 原点を知ることでフグの無毒化・フグ肝の未来・医療栄養の目指すところなどに興味が湧き、いくつか質問をさせて頂きました。